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相続した10筆の土地、全部でいくらになる?——八ヶ岳西麓の正直な相場感|不動産売却・買取の茅野市・原村の八ヶ岳ライフ

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2026/07/06相続した10筆の土地、全部でいくらになる?——八ヶ岳西麓の正直な相場感

相続した10筆の土地、全部でいくらになる?——八ヶ岳西麓の正直な相場感

親御さんの相続で、固定資産税の納税通知書を開いたら、見たことのない地番がずらりと並んでいた——茅野市・原村・富士見町の相続相談では、これが定型です。実家のほかに、畑が数筆、奥に山林が何筆。5筆で済めば少ないほうで、10筆、20筆を超えるご相談も珍しくありません。

そして、ほぼ必ずいただく質問がこれです。「これ、全部でいくらになりますか」。

この記事では、その質問に、実際の相場感で正直にお答えします。期待を膨らませる話ではありません。けれど、読み終えたときに「それなら動ける」と思っていただける話のはずです。

なぜ八ヶ岳西麓では「何筆もの相続」が当たり前なのか

金額の話に入る前に、前提をひとつ。この地域で複数筆の相続が定型なのには、理由があります。

八ヶ岳西麓は、四方を高い山に囲まれた盆地で、新幹線もリニアも通らず、大規模開発の波が届かなかった地域です。その結果、宅地のまわりに畑があり、その奥に山林がある——集落・農地・山林がひとまとまりの暮らしの単位として、実態を保ったまま受け継がれてきました。だから相続では、実家だけでなく、畑と山林が何筆もセットでついてくる。納税通知書に知らない地番が並ぶのは、この地域の暮らしの構造がそのまま登記に写っているからです。

相続した複数筆の土地、まとめて売ったらいくらになりますか?

ホームランはありません。1筆あたり数万円〜数十万円、中には固定資産税の数年分にしかならない筆もある——それが八ヶ岳西麓の複数筆相続の現実です。

「20筆ある山林のうち1筆が実は超優良物件で、それだけで一気に大きな収入になる」——そういう話は、現実にはまず起きません。動く筆は、集落の隣にある畑、接道のある土地、手入れの跡が残る山林。動きにくい筆は、接道のない奥山や、境界の分からない土地です。

つまり複数筆相続の売却は、「一発の大きな売却」ではなく、小さな金額の積み重ねと、負担の整理でできています。まずこの前提を共有できると、その先の話がすべて現実的になります。

金額が小さいなら、整理する意味はあるの?

あります。価値の中心は売却額そのものではなく、「固定資産税を払い続ける負担からの解放」と「ご自分の代で整理できた」という安心にあるからです。

10筆あれば10筆分、20筆あれば20筆分の固定資産税が、毎年、これから何十年も続きます。使っていない土地の税金を払い続ける負担は、金額の多寡以上に、心理的な重さとしてご家族に残ります。

そしてもう一つ。整理を先送りすれば、いまお手元にある地番のリストを、いつかお子さんやお孫さんが、同じ戸惑いとともに見ることになります。「お金に変えられるものは変えて、難しいものは一緒に考える」——この整理をご自分の代で終えられたという安心感は、売却額の数字には表れない価値です。

全部が動かなくても、かまいません

一筆ずつ見ていくと、金額の出方ははっきり分かれます。仕分けの考え方は前回の記事(相続不動産の売却タイミング)で書いた通りですが、金額の面から言うと、こうなります。

集落の隣の畑や接道のある土地は、自社買取や買い手探しで値がつきます。この数年、都心や郊外から移住して「畑をやりたい」という20代〜40代の需要が実際に動いており、5年前より値の出方は良くなっています。一方、接道のない山林や境界の分からない土地は、単独ではほとんど値がつきません。それでも、隣接地の方への打診、2023年に始まった相続土地国庫帰属制度の検討、あるいは「持っていて構わない」と腹を決める判断——選択肢はあります。

大事なのは、動かない筆があっても失敗ではない、ということです。動くものを動かし、動かないものは動かないと認めた上で何ができるかを考える——そのほうが、無理に全部を動かそうとして行き詰まるより、はるかに現実的です。

実例を一つ。原村で、30年間一度も現地を訪れておらず、境界も分からない相続山林のご相談を受けたことがあります。測量士と協力して場所を突き止め、最終的に当社で買い取りました。売主さまの言葉は「そもそもどこにあるか分からないものを買ってもらって助かった」。金額は決して大きくありません。それでも、毎年の税負担と「分からないまま持ち続ける」重さから解放された意味は、金額以上だったと思います。

時間の目安——一回で全部は解決しません

複数筆の整理は、一回の手続きでは終わりません。動く筆から順に、1年、2年、3年とかけて進んでいくのが普通です。

この地域ならではの時間の事情もあります。農地には農業委員会の許可手続きがあり、山林には境界や伐採の確認がある——これらの手続きは当社が窓口になって進めますが、それでも月単位の時間はかかります。加えて、標高900〜1500m帯の冬は雪と凍結で現地確認が止まる時期がある。そしてもう一つ、境界の手がかりです。集落の中の筆は、隣接地の方や古くからお住まいの方の記憶が境界を確かめる大きな手がかりになります。その記憶を持つ方々も、世代交代で少しずつ減っていく。地縁の記憶が残っているうちが、調べどきです。

だからこそ、始めるなら早いほうがいい。急かす意味ではなく、時間のかかる作業だからこそ、着手が早いほど選択肢が残る、という意味です。私たちはその期間の伴走者になります。

こんな方に向けた記事です

  • 納税通知書に知らない地番が並んでいて、何から手をつければいいか分からない方
  • 「大した金額にならないなら、動くだけ無駄では」と迷っている方
  • ご自分の代で実家まわりの土地を整理しておきたいと考えている方

場所が分からなくても、境界が不明でも、何筆あっても、地番のリストがあれば相談は始められます。

担当・朝倉から

不動産鑑定士として20年以上この地域の土地を見てきましたが、複数筆相続で本当にもったいないのは、「いくらにもならないだろう」と思い込んで、動く筆まで一緒に眠らせてしまうことです。値段のつき方は一筆ずつ違います。他社で値段がつかないと言われた土地でも、隣の筆と組み合わせたり、住宅とセットにしたりすると動くことがある——それは机上のデータではなく、一筆ずつ現地を歩いて初めて分かることです。

ホームランはありません。けれど、確実に軽くなるものがあります。まずは地番のリストを見せてください。一筆ずつ、正直にお答えします。

この記事を書いた人

朝倉 宏典

朝倉 宏典

八ヶ岳ライフ株式会社 代表 /
不動産鑑定士

長野県茅野市出身。2012年に地元密着の不動産会社「八ヶ岳ライフ」を設立。不動産の適正価値を見極める国家資格「不動産鑑定士」を保有し、年間300件以上の相談実績を持つ。八ヶ岳エリア(茅野市・原村)の不動産売却・買取に特化し、。地元出身者ならではのネットワークを活かした透明性の高い取引を信条としている。Youtubeでは八ヶ岳の不動産(相続した空き家、土地、山林、畑、別荘)についての役立つ情報を発信中。

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