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2026/06/26相続した八ヶ岳西麓の不動産、「とりあえず置いておく」が通らない時代になりました
団塊世代の相続が集中する2025〜2035年。茅野市・原村・富士見町でも、実家・農地・山林をまとめて相続したものの、「急いで決めなくてもいい」と判断を先送りにする方が増えています。
先送り自体は、悪い選択ではありません。前回の記事でも、すぐに動かない土地には「持っていて構わないと腹を決める」という道があると書きました。
問題は、「腹を決めて持つ」のと「なんとなく置いておく」のは、見た目が同じでも10年後にまったく違う場所に着くことです。そして近年、その「なんとなく置いておく」が、制度の面からも難しくなってきました。
いま、相続不動産を放置しにくくなっているのはなぜ?
2024年から相続登記が義務になり、放置したままにできる時代が終わったからです。
これまで、亡くなった親名義のまま土地や家を放置しても、特にお咎めはありませんでした。それが、2024年4月から変わりました。
不動産を相続した人は、相続を知った日から3年以内に名義変更(相続登記)をすることが義務になりました。正当な理由なく手続きをしないと、過料の対象になります。罰則を強調したいわけではありません。お伝えしたいのは、「いつか考えよう」のまま置いておくことが、もう制度上も前提にできなくなったという時代の変化です。 Japanese Government Online
しかも、これは新しく相続する人だけの話ではありません。2024年4月より前に親が亡くなって、名義をそのままにしている土地も対象で、2027年3月末までに登記する必要があります。「ずっと昔から実家の名義が祖父のまま」という土地も、来年春が一つの区切りになります。 Ministry of Justice
自分の土地がどこにあるか分からない場合は?
2026年2月から、亡くなった方名義の不動産を全国まとめて調べられる新しい制度が始まりました。
相続の相談で最も多いのが、「親が土地を持っていたのは知っているが、どこに何筆あるのか分からない」というものです。手元には固定資産税の納税通知書だけ、というケースも珍しくありません。
そうした方のために、2026年2月から「所有不動産記録証明制度」が始まり、亡くなった親名義の全国の不動産を一覧にした証明書を取得できるようになりました。 Japanese Government Online
これは、放置を責めるための制度ではなく、現状把握の入口が整ったということです。「何を持っているか分からないから動けない」状態から、まず抜け出せるようになりました。
相続した不動産を放置すると、10年でどう変わる?
建物・農地・山林のいずれも、放置すると「売れる状態」から「手をかけないと売れない状態」へ静かに移っていきます。
価格が急落するわけではありません。変わるのは、その不動産を引き受けられる相手の数です。
空き家は、人が住まなくなった瞬間から傷み始めます。換気が止まり、水が抜けず、冬の凍結が配管を傷める。3年も経てば、買い手は「住める家」ではなく「直すか壊すかが前提の家」として見るようになります。
農地は、耕されなくなると数年で雑木や篠竹が入ります。一度藪に戻ると、再び耕地に戻すには重機と費用がかかる。「畑をやりたい」という移住希望者の需要に乗れるのは、まだ畑の形が残っているうちです。
山林は、境界の記憶を持つ人が代替わりで失われていきます。隣地の所有者も同じように世代交代する。立会いで境界を確認できる人がいるうちと、誰も覚えていなくなってからとでは、確定の手間がまるで違います。
そして、ここに先ほどの登記の話が重なります。名義変更をしていないと、そもそも売却の手続きに進めません。「売ろう」と思い立ったときに登記が止まっていると、売る前にまず名義の整理から始めることになります。 Tax-tomoni
「待つ」と「放置」は何が違う?
待つは、出口を見据えて時機をうかがう状態。放置は、出口を考えないまま時間だけが過ぎる状態です。
同じ「今は動かさない」でも、中身が逆です。
待つ判断には、前提があります。何年か後に状況が変わる見込みがある、相続人の間で方針が固まるのを待っている——いずれも、いつか動かすことを織り込んだ上での「今は待つ」です。名義は整えておく、建物は換気と水抜きだけはしておく、農地は年に数回草を刈る。状態を保つ手だけは打っておきます。
放置は、その手を打たないまま「いつか考えよう」が続きます。県外に住んでいて現地に行く機会がなく、書類は引き出しの中、納税通知書だけが毎年届く——気づけば建物は傷み、農地は藪になり、境界を知る人はいなくなっている。
10年後、両者は同じ場所には立っていません。
冬と地縁が、放置の速度を決める
八ヶ岳西麓では、放置のダメージが平地より速く出ます。
標高900〜1500m帯の冬は、配管の凍結・破裂が建物を傷める最大の要因です。水抜きをせずに一冬越すだけで、翌春に水回りが使えなくなることもある。雪の重みや凍結融解の繰り返しは、空き家の劣化を平地より速く進めます。
地縁の面でも同じです。集落の中の家や農地は、近隣の方が様子を気にかけてくれているうちは、傷みも早期に気づかれます。けれど所有者が一度も顔を出さないまま年月が過ぎると、その関係も薄れていく。区との関わりが切れた物件は、いざ売るときに地域の情報が得にくくなります。
冬の生活実務と地縁——この二つを誰が回しているかで、同じ「動かさない期間」でも土地の傷み方が変わります。
担当・朝倉から
20年以上この地域の不動産を見てきて思うのは、相続物件で本当にもったいないのは、価格が下がることではなく、選べる道が減っていくことです。
相続した直後なら、自社買取・他社への引き継ぎ・仲介・畑付きでの売却・持ち続ける、と複数の道が並びます。ところが手をかけずに10年置くと、「直すか壊すか」「藪を払えるか」「まず名義を直せるか」といった前提条件が増え、選べる道がひとつ、またひとつと消えていく。
2024年の登記義務化も、2026年の新しい証明制度も、見方を変えれば「いま、相続を一度整理する後押しが揃った」ということです。私たちが「すぐ売りましょう」と言わないのは、待つこと自体は立派な選択だからです。ただ、待つなら「腹を決めて、最低限の手は打って待つ」。その線引きだけは、相続した時点で一度引いておいてほしいと思います。
ご自分の代に何があるのか分からない、という段階でも構いません。まずは現状を一緒に把握するところから始められます。八ヶ岳西麓3町村の相続不動産については、1分無料査定からお気軽にご相談ください。

