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2026/06/04八ヶ岳西麓の不動産相続|登記簿に載らない情報が消える前の整理術

相続は「発生してから考える」では遅い
八ヶ岳西麓で不動産の売却相談を受けていると、ある共通点に気づきます。困りごとを抱えてやってくる方の多くが、「相続が発生してから」動き始めた人だということです。
先月も、東京にお住まいの方からこんなご相談がありました。「父の名義の山林が三筆あるようなのだが、どれも場所がわからない」。公図を取り寄せ、現地を歩き、隣地の方に立会いをお願いして、ようやく一筆の見当がつく ── そんな作業から始まります。鑑定士として土地を評価する以前の、「そもそもどこにあるのか」を突き止める段階に、多くの時間がかかるのです。
茅野市・原村・富士見町には、別荘・山林・農地・空き家といった、都市部とは違う種類の不動産が数多くあります。これらは、所有者が亡くなってから相続人が動こうとすると、急に手に負えなくなる性質を持っています。
理由ははっきりしています。”情報が、所有者本人の頭の中にしかないから”です。
- この山林の境界はどこまでか
- この農地の水利は誰と分け合っているか
- 区費はいくらで、誰に払っているか
- 別荘地の管理組合の連絡先はどこか
- 井戸はあるのか、上水はどこから引いているのか
これらは登記簿には載っていません。亡くなった方の記憶とともに、わからなくなってしまうのです。
2025-2035年は、八ヶ岳西麓の不動産が一斉に動く時期
いま、八ヶ岳西麓では世代交代が静かに進んでいます。
バブル期に別荘を建てた層、高度成長期に田畑や山林を受け継いだ層が、そろって高齢化の節目を迎えています。この10年ほどは、相続を入口にした不動産の動きが集中する局面にあたります。
これは八ヶ岳西麓に限った話ではなく、全国的な相続の波と重なっています。ただ、この地域には固有の事情があります。**動かしにくい不動産が多い**ということです。
都市部のマンションや宅地なら、相続が発生してからでも、不動産会社に頼めばある程度は片付きます。ところが山林・農地・別荘・空き家は、そうはいきません。
- 農地は農地法があり、誰にでも売れるわけではない
- 山林は境界が不明確で、まず「どこからどこまでが自分の土地か」の確認から始まる
- 別荘は管理費の滞納や建物の老朽が絡む
- 空き家は残置物・農地付き・特定空家のリスクが複雑に絡む
これらは、相続人が遠方に住んでいる場合、現地を見ることすら容易ではありません。
親が元気なうちにやっておける、3つのこと
親が元気で記憶も確かなうちに整理しておくことは、結果として家族を守ることになります。すべてを売ってしまえ、という話ではありません。わかる人がいるうちに、わかることを書き留めておくだけで、後の負担はまったく違ってきます。
1. 何を持っているかを、一覧にする
登記簿・固定資産税の納税通知書をもとに、所有している不動産をすべて書き出します。納税通知書には、課税されている土地・建物がほぼ漏れなく載っています。これだけで「どこに何があるか」の骨格ができます。
2. 登記簿に載らない情報を、親から聞いておく
境界の話、水利の話、区との関係、別荘地のルール、井戸や上水の引き込み。これらを親が話せるうちに聞いて、メモにしておきます。
八ヶ岳西麓では、ここに**冬の生活実務**も加えておきたいところです。水道の凍結を防ぐための水抜きをどの順番でやるのか、除雪は誰と分担しているのか、薪はどこから確保しているのか。標高のある土地では、こうした冬の段取りが暮らしの前提になっています。これも所有者本人にしかわからないことが多く、後から再現するのが難しい情報です。
3. 売るか・残すか・誰かに渡すかの方向性を、ざっくり決めておく
すべてを今すぐ決める必要はありません。ただ「この農地は誰かに使ってもらいたい」「この山は手放したい」といった大まかな意向だけでも、家族で共有しておくと、相続が発生したときに迷いが減ります。
残すという選択肢も、ちゃんとある
ここで誤解してほしくないのは、「早く売りなさい」と言いたいわけではないということです。
八ヶ岳西麓の標高900〜1500m帯は、夏も過ごしやすく農業にも適した気候帯で、区・畑・山林という地縁と資源の三層がいまも実態として残っています。相続を機に「売る」だけでなく、「子や孫が二地域居住や農ある暮らしに使う」「誰か使いたい人に引き継ぐ」という選択肢もあります。**大事なのは、選べる状態を保っておくこと**です。わからなくなってしまった土地は、売ることも残すこともできなくなります。
私たちにできること
八ヶ岳ライフは、仲介ではなく自社買取を中核にしています。そのうえで、農地転用・境界確定・水利調整・伐採届といった行政手続きを自分たちで進められる体制を持っています。
「何から手をつけていいかわからない」という段階からのご相談を歓迎しています。売る前提でなくて構いません。まずは「うちには何があるのか」「それはどう扱える土地なのか」を一緒に整理するところから始められます。親が元気なうちの一回の整理が、家族の十年後を大きく変えます。気になることがあれば、お気軽にお声がけください。

