お知らせNEWS
2026/05/15親の相続物件が「売れない」とは限らない——八ヶ岳西麓で動き始めた5つの種別
親の相続物件が「売れない」とは限らない——八ヶ岳西麓で動き始めた5つの種別
「親が遺した八ヶ岳の家、もう田舎の不動産なんて売れないでしょう」——県外に住む相続人の方から、この5年で何度も聞いてきた言葉です。
その前提が、いまひっくり返りつつあります。
特にこの1〜2年。八ヶ岳西麓(茅野市・原村・富士見町)で、これまで「売れない」と言われてきた田んぼ、農地付きの古い家、区加入前提の集落の土地が、過去20年なかった水準で動き始めています。
買い手が増えたのではありません。**買い手の構え方が変わった**のです。そして買い手の構えが変わると、相続物件のどれが動いてどれが動かないかが、ごっそり入れ替わります。
今日は、5つの種別ごとに「いまどう動いているか」を整理します。
5年で4回のテスト——買い手の構えが変わった理由
2020年以降の5年で、暮らしの前提が4回テストされました。コロナ、中東情勢、日中の緊張、そして物価高。集約と外部依存に頼った暮らしの脆さが、4回続けて表面化したことになります。
人の感覚はもう戻りません。これが買い手の構えを変えた根本要因です。
具体的には、こういう順序で移動しています。「便利な都市部のマンション」から「都市は脆い」へ。「田舎は不便で寒い」から「自給と地縁が見直される」へ。「区に入るなんて縛られたくない」から「区が機能している地域こそ守られている」へ。
5年前まで売り文句だった「区が強くないから自由」が、いまは選ばれない理由に変わりました。逆に「区が機能している集落」が、移住検討者から指名で問合せが入るようになっています。
八ヶ岳西麓の現場で起きていること
抽象論ではなく、現場の事実として並べます。
田んぼが過去20年なかった水準で動いている**。これまで田んぼは最も売却が難しい不動産でした。農地法、農業委員会許可、水利、面積、機械、買い手不在。それが、ここ1〜2年で動き始めています。30代の移住希望者が住宅用地と隣の田んぼを一緒に欲しがる。買い手の動機はほぼ全員「自給したい」。資産運用ではなく実需です。
**20代-40代が「区加入前提」と希望条件に出してくる**。富士見町で最近あった事例では、20代後半のご夫婦が最初の相談で「区加入は問題ありません、自然を活かして鶏や畑をやりたいので広い土地が欲しい」「自分の手で食べ物を作る暮らしに切り替えたい」と話されました。30年前にはほぼ存在しなかった層です。
逆に、デザイン住宅と高級志向の別荘は動かなくなった**。ウッドデッキの広さ、シャワー室の仕様、暖炉のデザインを売りにする層が、ぱたっと止まっています。
買い手の側で、選ぶ物件がはっきり入れ替わりました。
物件種別ごとの「いま動いているか」一覧
相続人の方が一番知りたいのは、ご自身の物件がいまどこに該当するか、です。種別別に整理します。
| 物件種別 | 5年前の評価 | いまの動き |
|---|---|---|
| 田んぼ単独 | 売れない | **動き始めた**(自給目的の実需) |
| 農地付き中古住宅・古民家 | 解体一択 | **強需要**(再生対象として注目) |
| 区加入の集落内中古住宅 | 売りにくい | **再評価**(地縁が選ばれる理由に) |
| 標高1100-1300m帯の畑付き土地 | 寒い・厳しい | **適地化**(夏涼しさで再評価) |
| 山林(境界明確・接道あり) | 動かない | じわじわ動く |
| 山林(境界未確定・接道困難) | 動かない | 引き続き難しい |
| 別荘地内・区加入なし・管理組合のみ | 主流 | **弱化**(高級志向ほど止まる) |
| 標高1500m超の冬期定住困難立地 | 別荘需要 | 厳しい |
「集落の中」が再評価されている理由は、冬の除雪・水利の合意・道路の取り決めまで、地縁の中で完結しているからです。区が機能している地域は、そのまま暮らしの実務が回ります。買い手にとっては「自分で全部組み立てなくていい」価値があります。
ここで一つだけ補足を。表の左半分(動いている種別)に該当する物件でも、境界が長年確定していない、相続人間で合意が取れていない、固定資産税が未払いになっている——こうした条件があると、市況がいくら良くても動きません。**物件の中身と書類の状態を一度棚卸しする**ことが先決です。
## 鑑定士の視点——いまの市況で「いくら」か
「では、自分の物件はいまいくらなのか」。これは買い手の構えが変わった以上、5年前の感覚で査定しても合いません。
鑑定士の視点で言えば、いまは**種別ごとに需要層が分かれている**段階です。同じ茅野市の中古住宅でも、集落の中か外かで査定が10〜20%動くことが珍しくなくなりました。田んぼ付きかどうかで、マイナス査定だったものがプラスに転じることもあります。
「うちの実家は田舎で田んぼ付きだから安いだろう」——その諦めが、5年前の感覚に基づいているケースが増えています。
## 朝倉の見方——10年に一度の交差点
私の判断軸は「時中」です。相続が出始めた局面(2025〜2035の入口)と、買い手の構え方が変わった局面が、たまたま重なっています。これは10年に一度の交差点です。
ただ「だから今すぐ売らないと損」とは申しません。物件と家族と地域の三つを見ないと、急ぐべきか待つべきかは決まりません。相続人間の合意がまだなら、その整理が先。冬を1〜2回越えて建物の状態を見極めたいなら、それも判断材料になります。
私たちは鑑定士と宅建士の両資格で、自社買取と仲介の両方ができます。茅野市・原村・富士見町に20年以上関わってきました。最近の現場で言うと、富士見町の中古住宅+農地+山林の相続案件で、相続人3名が全員県外、区の役員の方に事情をお伝えしたら、隣家の若い世代がそのまま買い手として手を挙げてくれた——そういう動き方も実際に起きています。
「うちの相続物件は売れない」と決めずに、まず現状を一度棚卸ししませんか。決めてから来ていただく必要はありません。決める材料を一緒に整える段階から、対等な関係でご相談に乗ります。
---
八ヶ岳ライフ 売却相談
yatsugatake-life-baikyaku.com

